この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ご相談者は、他の法定相続人に押し切られ、代償金なしで遺産分割協議書に署名・捺印をしてしまっていました。しかしその後、元々聞かされていた事情と異なる経緯が判明し、遺産分割協議のやり直しを求めたものの、これを拒否されて困っているとのことでした。なお、遺産分割協議が無効となっても、別の遺言が残されていたため、いずれにせよご相談者は遺産を取得することはできないと思われたものの、その場合には遺留分侵害額の請求が可能と思われました。
解決への流れ
交渉では進展が見られなかったため、遺産分割協議の無効確認を求める訴訟を提起しました。訴訟においては、「相談者が一円も取得できずに相手方のみが全遺産を取得する」という極めて不合理・不公平な内容の遺産分割協議書が作成されたことへの疑問点にフォーカスしました。そして、このような協議書にサインせざるを得なかった当時の認識と、実際の事実とが大きく異なる点を、具体的な事実を丁寧に抽出し、主張・立証を展開しました。この結果、「遺産分割協議の有効性に大きな疑義が残る」との裁判所の心証開示を踏まえ、当方勝訴相当の和解案の提案を受け、解決に至りました。なお和解金額は、遺留分侵害額全額を前提に、かつ遺産不動産の評価額についても綿密な調査・資料作成を行い、相手方の当初提示額の倍近くまで引き上げることができました。
一度サインしてしまうと、遺産分割協議の効力を後から否定することは極めて困難です。本件は、最終的には勝訴相当の和解解決が得られましたが、まずは協議書にサインする前に、ご自身でも疑問があればまず弁護士にご相談いただければと思います。