この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
小学生の球技チームのコーチをしていた男性から、選手の母親の女性と交際していることが女性の夫にバレて500万円の慰謝料請求訴訟を起こされたという相談を受けました。聞くと、男性が交際していた女性は、その夫の暴言、無計画な借金や無駄遣い、家出に悩まされていました。夫が起こした訴訟は、女性との婚姻関係が形式的に残っているのに便乗したもので、価値判断的にも容認されてはならないと考えられました。
解決への流れ
裁判では、訴えを起こした夫と女性の婚姻関係が破たんをしていたことの立証に注力しました。婚姻関係が破たんしていた夫婦であるならば、夫婦の一方が不貞行為をしたとしても他方配偶者に慰謝料請求権は発生しないというのが判例の立場です。破綻の立証のためには女性の協力が不可欠でしたが、女性からは快く協力してもらうことができました。女性からは、夫が、無謀なマンション投資をして自己破産をした際の書類、夫の不審な家出や夫から暴言を受けたことを記録した日記、女性と男性がホテルに行った探偵社の記録を女性の知人に面白おかしく報告して伝えていたSNSの記録の提供を受けました。その結果、判決は、請求棄却。夫の行動は、不貞行為によって婚姻共同生活の平和を乱された者のものとはとても評価できないとして、当方の主張を全面的に認めた者でした。
判決は、夫によって控訴されることもなく確定しました。女性と男性が一時交際していたこと自体は争いがなく、争点は、交際していた当時、夫と女性の婚姻関係が破壊されていたかどうかだけでした。女性がよく資料を残してくれていたことが幸いし、当方の主張は全面的に認められました。この結論に、依頼者の男性もホッと胸をなでおろしていました。